2016年auの夏モデル新機種として発売された「HTC 10 HTV32」ですが、今回大きなアピールポイントとしているものの1つに「納得の高音質」というものがあります。本体はこだわりのステレオスピーカー、イヤホンもハイレゾ対応のものが同梱されていてスマートフォンのなかでも音楽を聴くために特化されていることがわかります。
しかし本当に高音質を謳うほどの実力がHTV32にはあるのでしょうか?今回はオーディオ面でのアピールポイントにされているスピーカー・オーディオ再生・付属イヤホンの3つについてレビューしていきます。
本体スピーカーの実力
スピーカーの音質面ではHTC One M7(HTL22)世代から特に定評のあるHTCですが、今回からはスピーカーが2つフロントにありません。1つは受話口と兼用でフロントについていますがもう1つは本体下部の側面についています。フロントはツイーター、側面はウーファーという役割になっていて普通のステレオスピーカーとは少し違った響き方をします。今回のスピーカーは音質面ではどうなのでしょうか?
シアターモード・ミュージックモードが用意されているため場合によって使い分けることができます。
実際に手持ちのハイレゾ音源をスピーカーで再生してみました。ミュージックモードで音量は最大に。
今回のスピーカーも素晴らしいの一言でした。フロントスピーカーではボーカルがくっきりと伝えられていて、側面スピーカーからは迫力のある低域・中域が響きます。私は過去のHTC特有フロントステレオスピーカーの良さを持つHTC One E8も持っていますが、HTC 10はE8と違って音が正面によらず全体的にうまく響き渡ります。またスマートフォンを縦に持った時でも違和感ない再生ができており、ウーファー・ツイーターという構成の分け方をした恩恵を受けているように感じました。
正面で聴いた時のパワフルさは過去より少し劣っているものの、完成度は非常に高くステレオフロントスピーカーにしなかったことは妥協ではなく真っ当な進化だと思いました。スマートフォンのスピーカーは一般的に音量を最大にすると音が割れてしまったり篭ってしまうものですが、HTC 10は音割れすることなく大音量でクリアな音です。片方のスピーカーを手で抑えるとわかるのですが、側面部からは少し篭もった落ち着いた音が出ていてフロント部からはっきりとした高音が出ています。この2つの音がうまくマッチングして迫力ある音楽が聞こえているようです。
状況を変えてみます。シアターモードにすると中域音量が少し小さくなり、サラウンド効果のような音の広がりに変化しました。確かに映画館で見ている時のイメージに近いです。次に音量を半分にしてみましたがここで少し残念な点が見えました。音量を半分にすると側面スピーカーの音ばかり聞こえてフロントから音が出ているようにあまり感じません。耳を近づけてみると確かに音は出ているのですが音量が最大の時と明らかに左右のバランスが違います。もう少し音量変化の差異は配慮すべきであったと思いますね。音自体の質がかなり良いだけに非常に残念でなりません。しかしバランスが変わってもスピーカ−としての役目は果たせているので慣れてしまえば気にならないです。
本体のオーディオ音質
こちらも音楽を聞く上で大切な要素。スマートフォンを音楽プレーヤーとして使う場合、どれだけ綺麗な音声が出力されているのかも重要になってきます。今回はスマートフォン自体の音質を検証したいため付属のハイレゾ対応イヤホンではなく手持ちのWestone W40を用いました。
W40は価格が6万円前後と少々高価な部類のイヤホンです。普段使っているということもありますが、純粋にプレーヤーの音の傾向・特徴を掴むことができます。
視聴してみての感想としては、
・低域多めのチューニング
・広がりを感じるウォーム系な音
・解像度は軒並みのスマートフォンより少し良い程度
・音量の確保◎
といったところです。
今回のHTC 10ではイヤホンをつけた状態でもHTC BoomSoundのON or OFFが可能です。BoomSoundをONにした状態での感想が上記に示したものですが、BoomSoundをOFFにすると 音の広がりが弱まり低域の量が少なくなります。視聴してみて高音質というよりは力強い音という印象を強く受けました。ボリュームが半分にもいかないところでもイヤホン音量は確保出来たので抵抗の大きいヘッドホンを直挿ししても音量は確保できそうです。この点においては非常に優秀ですね。
音質に関しては、解像度が別にDACを採用しているスマートフォンに比べやはり劣っているように感じました。手持ちの端末にGalaxy S6 edgeがありますが、Wolfsonのサウンドチップを別で採用していることもありスマートフォンでも聞き心地の良いリスニングが体感できます。今回のS7 edgeでも別でサウンドチップを採用しているようなのであちらは引き続き音質が良さそうです。マイナスなことを述べてしまいましたが、HTC 10の音質でも十分に軒並みのスマートフォンよりは優れています。
付属のハイレゾ対応イヤホンの音質
今回HTV32に同梱されているイヤホンは日本オーディオ協会が認定する「ハイレゾ」に対応しているとのことですが、音質はいかほどのものなのか検証してみました。
先程と同様イヤホン音質のみを検証するために、プレーヤーはHTC 10でなく手持ちのFiiO X7を用いました。それではイヤホンの特徴をまとめます。
・中低域寄りのチューニング
・低域の解像度○
・高域少なめ
と言った感じです。
低音の聞こえ方はなかなかのもので、私の持っている他のイヤホンでは聞こえない音まで聞こえました。基本的には低音重視でシャリつくこともありませんでした。解像度は1万クラスの手持ちのイヤホン(DUOZA)には到底及ばないものの、5,000円クラスイヤホン級の高音質です。無個性ではなく低域重視な音という特徴を持っているので好印象です。正直ハイレゾ対応というのは40kHz以上の音が再生できるというだけであって特に意味はありませんが、付属イヤホンのクオリティーとしてはなかなかのものでした。
最後に
本体もイヤホンもチューニングが低域寄りということもあって、本体に付属イヤホンを挿して音楽を聞くと重低音な音楽を楽しむことができました。オーディオ好きとしてはやはりHTC 10とは別で高級音楽プレーヤーを利用したくはなってしまいますが、特別なこだわりが無ければHTV32&付属イヤホンでもかなり快適だと思います。スピーカーに関しては他社が敵うレベルではないクオリティーと言ってもおかしくありません。家では本体スピーカーで迫力ある音楽を楽しめると思います。
今回はオーディオ面に重点を置いたレビューをしてみましたが、HTC 10 HTV32の購入を検討されている方の参考の1つにしていただければありがたいです。時間があればまた本体レビューもしていくつもりです。
今回はオーディオ面に重点を置いたレビューをしてみましたが、HTC 10 HTV32の購入を検討されている方の参考の1つにしていただければありがたいです。時間があればまた本体レビューもしていくつもりです。